公募案件に時間をかけて提案したのに、選ばれなかった――。ビザスクで活動していると、そんな経験をされる方も多いのではないでしょうか。
今回は、これまで多数の案件に携わってきたベテランエキスパートのAさんに、公募との付き合い方や、選ばれなかったときの気持ちの切り替え方、提案文で意識していることを伺いました。
登場人物
- Aさん:元メーカー事業企画、現在は独立コンサルタント。ビザスクでの活動歴5年、インタビュー実績50件以上
- ビザスクサポート:エキスパートの皆さまの活動をサポートしているチーム
選ばれなかったとき、正直どう感じますか?
サポート:今日はよろしくお願いします。いきなりですが、公募に応募して選ばれなかったとき、Aさんはどう感じますか?
Aさん:始めたばかりの頃は、かなり落ち込みましたよ。一生懸命考えて提案したのに、何がだめだったんだろうって。正直、「あれだけ書いたのに…」と思ったこともあります。
サポート:時間をかけて提案されている分、そう感じられるのは当然だと思います。今はいかがですか?
Aさん:今は、だいぶ平気になりましたね。公募ってそもそも「何人かの中から選ぶ」仕組みなので、選ばれない方が普通なんですよ。そこに気づいてから楽になりました。
「選ばれない=ダメ」ではない
サポート:何がきっかけで気づかれたんですか?
Aさん:自分が会社員時代に、外部の専門家を選ぶ側だったことを思い出したんです。候補が何人もいて、どの人も優秀。でも最後は「今回のテーマに一番近い人」「日程が合う人」「予算に収まる人」で決めていました。
サポート:提案の出来とは別のところで決まることも多い、ということですね。
Aさん:そうなんです。社内で検討自体が止まることもあるし、募集してみて「課題の整理からやり直そう」となることもある。選ばれなかった理由の多くは、こちらからは見えない企業側の事情だと思っています。だから今は「自分が否定された」とは受け取らないようにしています。
期待値は「数件に1件」くらいがちょうどいい
サポート:気持ちを安定させるために、意識していることはありますか?
Aさん:1件に全部を賭けないことですね。体感ですが、私は今でも数件に1件決まれば上出来、くらいの気持ちで応募しています。そのつもりでいると、選ばれたときは素直に嬉しいし、選ばれなくても「次いこう」と切り替えられます。
サポート:応募する案件はどう選んでいますか?
Aさん:「自分の経験がそのまま活きる」と思えるものに絞って、迷ったら出すようにしています。出さなければゼロですから。数を出しているうちに、自分が選ばれやすいテーマも見えてきます。
提案文は「何ができるか」を具体的に、「答え」は取っておく
サポート:提案文はどのくらい書き込みますか?「詳しく書かないと選ばれない」という声もよく伺います。
Aさん:具体性は大事です。ただ、書くのは「何をやってきたか」と「この課題にどう関われるか」まで。課題への答えそのもの、たとえば具体的な施策の中身や手順書みたいなものは、書かないようにしています。
サポート:その線引きはどうやって決めたんですか?
Aさん:以前、力を入れすぎて企画書のような提案を出したことがあって。選ばれなかったときに「あれ、全部書いちゃったな」とモヤモヤしたんです。それで、提案は「この人と話してみたい」と思ってもらうためのもの、と割り切るようにしました。本当の価値は、インタビュー本番で出せばいい。
サポート:具体的には、どんなことを書いていますか?
Aさん:だいたいこの4つです。
- 似た課題に取り組んだ経験(業界・立場・規模感)
- そのとき自分が担った役割と、出せた成果
- 今回の案件で「こういう観点でお手伝いできそう」という方向性(箇条書きで数点)
- インタビュー可能な日程(具体の日時ではなく「平日対応可能」「土日のみ対応可能」など)
方向性は見せても、「どうやるか」の中身までは書かない。これでも十分伝わりますし、むしろ読む側も要点をつかみやすいようです。
日程調整は「自分の予定が最優先」
サポート:提案後のお話も伺わせてください。インタビューの日程がなかなか確定しない、ということはありませんか?
Aさん:ありますね。候補日を出しても返事が遅かったり、直前で変更になったり。始めた頃は選ばれたいという気持ちから、本業やプライベートの予定をずらしてまで合わせていました。
サポート:かなり無理をされていたんですね。
Aさん:でも、それを続けるとだんだん疲れてくるんです。今は自分の予定を最優先にして、候補日の範囲で調整してもらうようにしています。無理して受けたインタビューより、余裕をもって臨んだインタビューの方が、相手にとっても良い時間になりますから。
サポート:ほかに工夫されていることはありますか?
Aさん:条件を最初に伝えておくことです。たとえば候補日を出すときに「インタビューの3日前までに決済が完了しない場合は、その日程では対応できません」と一言添えておく。そうすると相手も段取りを進めやすいし、こちらも押さえた枠をいつ手放していいか判断できます。
サポート:ある程度の主導権は、ご自身で握っておくということですね。
Aさん:そうです。遠慮して相手に合わせ続けるより、最初にルールを決めておく方が、お互い気持ちよく進められます。依頼企業とエキスパートは対等な関係なので、遠慮しすぎなくていいと思いますよ。
選ばれなかった提案も、次に活きる
サポート:選ばれなかったとき、その後はどうしていますか?
Aさん:提案文を自分用に保存しておいて、次の応募で使い回しています。経験の書き方がだんだん磨かれて、プロフィールに反映したものもあります。そうすると、公募以外の経路で声をかけていただけることも増えました。
サポート:一つひとつの提案が、積み上がっていくんですね。
Aさん:そう思います。続けている人ほど提案がうまくなって、結果的に決まりやすくなる。だから「今回は縁がなかった」くらいで次に行くのが、一番の近道だと思います。
これから公募に応募する方へ
サポート:最後に、これから公募に挑戦する方へ一言お願いします。
Aさん:選ばれないことは、あなたの経験の価値とは関係ありません。気軽に数を出して、提案は「話してみたい」と思わせるところまで。日程は自分の予定を大切にしながら、条件は最初にはっきり伝える。無理しすぎないその距離感が、長く楽しく続けるコツだと思います。
まとめ:Aさんに教わった、公募と長く付き合うコツ
- 公募は複数の方の中から選ばれる仕組み。選ばれない理由の多くは、企業側のタイミングや事情によるもの
- 「数件に1件決まれば上出来」くらいの気持ちで、気軽に数を出す
- 提案文は「経験」と「どう関われるか」を具体的に。課題への答えそのものは、インタビュー本番で
- 日程調整は自分の予定を最優先に。決済期限などの条件は最初に伝えて、主導権を握っておく
- 提案文は保存して使い回し、プロフィールも一緒に磨く
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※本記事に登場するAさんは、複数のエキスパートの皆さまから伺ったお話をもとに構成した架空の人物です。